恋に落ちて。








「ねぇ亜美、宿題やった?」

「あ、やってない…」

「えー頼りにしてたのにー。園田〜宿題やってる~?」

「おーやってるぜー」

「じゃあ見せて見せて~。亜美も見るでしょ~?」

「あ、うん。助かる」




鈴奈に掛けられた声に返事をすると、彼女は近くにいた男子に声をかける。


新山鈴奈(ニイヤマスズナ)は、入学初日にただ席に座って黙って時間が過ぎるのを待っていた私に初めて声をかけてくれた子だ。


サバサバしてて、少しというかかなり毒舌で、頼りがいがあって。



鈴奈にとって私は、たくさんの友達の中の一人なのかもしれないけど、私の中で鈴奈は初めての“友達”という存在なのだ。


出会ってから今まで(とはいえまだ3ヶ月なのだが)、私なんかの傍にいてくれる鈴奈はすごく優しい人だ。それと同時に、とても温かい人だ。



鈴奈だけではなく、クラスのみんなが女子でも男子でも声をかけてくれる。


こんなに幸せなことはない。



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