恋に落ちて。
足が疲れてきた頃には、もう長い屋台の終わりが見えてきていた。慣れない下駄で、足はそろそろもう限界だった。
「はぁ」
小さく息を吐く。
私の見上げる目線の先には、たくさんの星が瞬いていて。
私はぎゅっと口を引き結んで、近くの石垣に腰を下ろした。
手の中にある千円札も、もうぐしゃぐしゃだ。
お祭りを楽しむように私の目の前を歩く人たちは、みんな笑ってて。子供から大人までいるお祭りは、私のことを嘲笑っているようで。
綺麗事のようにすすむ世の中なら、どんなに楽だろうか。
こんなことを当たり前に考えれてしまう私は、年に合わずどこか大人びている。とよく大人の人たちに言われていた。
確かに私はクラスでも私は浮いているし、ちゃんとした友達なんていない。
それはまるで、自分が自分じゃないかのようで。
(もう、どうしたらいいのかわからない…)
私は膝の間に顔をうめて、膝を抱える。
なにがどうなっているのか。
私はこれからどうしたらいいのか。
なにもかもわからなかった。
だから私は、ただひたすら。
たくさんの星が瞬く夜空を見上げていた。
「なにしてんの?」
違う。
「おい」
本当は、上を向いていないと涙がこぼれてしまいそうだから。