恋に落ちて。
もうすでに席についているお父さんは、読んでいる新聞を閉じて、朝食を口に運ぶ。
私は用意されたお茶に口をつけようとしたとき、リビングのドアががちゃりと開いた。
「おはよう諒くん」
「おはよう」
「はよ」
お父さんとお母さんの挨拶に短く挨拶した諒は、私の隣の席に座る。
昔とは違う、茶色に染めた髪。
私とはあまり似ていない、顔立ち。
でも、右耳には変わらない紅い雫のピアス。
ただ黙って黙々と朝食を食べ始める諒は、なんだか昔とは違う雰囲気を纏っていて、周りの人は怖い。なんて言うのかもしれない。
でも私は知っている。
諒は優しいってこと。