恋に落ちて。






そうして、時間になると私は


「行ってきます」


と一言言って、家を出た。








電車に乗って、いくつか駅を過ぎたところで降りる。通勤ラッシュのこの時間の汽車は人がたくさんで混んでいるせいで、なんだか息苦しい。

そのせいかなんなのか、外の空気がいつもの何倍も新鮮に感じる。



電車を降りてしばらく歩くとすぐに私の通う高校が見えてくる。どこにでもあるような、模範的で一般的なごく普通な高校。




クラスにはいると、みんなが私に
おはよう。
と挨拶をしてくれる。


小学や中学の頃とは打って変わって、何故か私はクラス内で浮いてはいない。

それは何故なのか。
私が周りに合わせているのか、それとも周りが私に合わせてくれているのか。
まだまだ謎だらけだった。



入学してから早3ヶ月。今は7月で、もう夏に突入している。







別に高校生になったからといって、これといってなにをしたい!とか、こうしたい!とか、そういうことはなにもなかった。

夢もなけれは目標もない。

ただずっとそうして、呑気に自由にのらりくらりとなんとなく生きていたかった。



みんなと同じように、なんとなく毎日を過ごして。昔からそうやってきた。



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