【短編】よわ虫kiss
だって、動揺してる様子もショックを受けた様子もなくて、ただ黙って男の顔していて…
知らない大和の顔にドキドキして、でも裏腹に嫌な気持ちが目を覚ます。
なに、その顔…
なんでショック受けないわけ?
…大和にとってそんな大した事じゃないの?
あたしと別れても、平気なの…?
話を切り出したのはあたしなのに、なんだかよくわからないわがままが浮かび上がる。
止められたって、別れるつもりなのに。
なのに、止めて欲しいなんて…
ショックを受けて欲しいなんて…
聞いて呆れる。
「アヤ…オレは」
「今までの事…っ
全部忘れて…
あたしと付き合ってた事、全部、大和の記憶から消して。
それで、新しい彼女見つけなよ」
「アヤ」
「その彼女に、試合の前の日は頭を撫でてもらえばいいじゃん。
寝かせてもらえばいいじゃん。
あたしはっ…
もう、大和の傍にはいられないんだから…
何にもしてあげられないもんっ
そんなんじゃ、彼女でいる意味ないもんっ」
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