【短編】よわ虫kiss
神経質で繊細で…
バカみたいに、毎日右足から靴を履くとことか
バカみたいに、本棚が本屋並みに綺麗なとことか
「くだらない」ってバカにしたけど、好きだった。
臆病で、でも減らず口で…
毎日したケンカ、大和はいっつも一歩引いてた。
あたしを傷つけないように、いっつもどこかで気を使ってた。
それに気付いてたから、あたしは安心してケンカができたんだ。
よわ虫で甘ったれで…
あたしの部屋の床に毛布でくるまる大和の頭を撫でると、大和は少し安心したように口元だけ緩めて眠りに付く。
キュッと握ってくる手は男の手なのに子供みたいに甘ったれで、守ってあげたくなる。
「部屋が狭くなる」って文句ばっかり言ってたけど、あの空気が大好きだった。
あたしの全部が大和との思い出で出来てて、
あたしの全部が大和を必要としてる。
あたしの全部が…
大好きだって叫んでるよ。
…痛いくらいに。
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