【短編】よわ虫kiss
それでもなんとか1年半が経って…
あたし達の関係は、変わった。
まだ恥ずかしいけど、手も普通に繋げるようになったし
タイミングは難しいけど、キスだって当たり前にするようになったし
「アヤ、感じてんの?」
そんな言葉をかけてくる意地悪な大和を殴りたくなるけど、大人のキスだってするし
脳みそが溶けそうになりながらも、顔から火が出そうになりながらもえっちだって…したりする。
とにかく!
付き合いは順調なんだ。
…減らず口は相変わらずだし、ケンカもするし、可愛いところなんか見せられないけど。
順調…だったんだ。
なのに…ね。
「ア~ヤ」
部室に運んだボールを置いて外に出ようとしたあたしを、大和が止めた。
開けっ放しだった部室のドアを片手で閉めてから、そのドアにあたしの背中を押し付ける。
ほこりっぽい匂いは苦手じゃないけど、砂とグローブの皮の匂いに少し息苦しいような感じになる。
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