【短編】よわ虫kiss
「さっきのキスの続き…しよ」
両手であたしの逃げ道を奪った大和が、小さく首を傾げる。
きっとこうすれば可愛く、かっこよく見えるって自分で知ってるんだ。
生まれた時から一緒にいるあたしでさえドキドキするような仕草…
それに加えて…普段は見せない男の顔。
…知能犯発見。
「やだ」
あたしは唇を噛んでそれだけ答えると目を逸らした。
大和の着崩したユニフォームがはだけてて、どこを見ても心臓に悪い。
「…アヤさぁ、2週間くらい前からおかしくない?
いっつも拒否るよね。
…なんで?」
だって、それは…
「…部室でそうゆう事するのが嫌なだけ」
「拒否ってもさぁ、結局オレのしたい通りになるの分かってるくせに…
そうゆうとこ可愛いよね」
にやっと…口の端を上げて笑う大和に、何も返せなくて…
黙ったまま俯くと、大和がそれを追うようにあたしを覗き込んできた。
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