【短編】よわ虫kiss


「さっきのキスの続き…しよ」


両手であたしの逃げ道を奪った大和が、小さく首を傾げる。


きっとこうすれば可愛く、かっこよく見えるって自分で知ってるんだ。


生まれた時から一緒にいるあたしでさえドキドキするような仕草…


それに加えて…普段は見せない男の顔。


…知能犯発見。



「やだ」


あたしは唇を噛んでそれだけ答えると目を逸らした。


大和の着崩したユニフォームがはだけてて、どこを見ても心臓に悪い。


「…アヤさぁ、2週間くらい前からおかしくない?

いっつも拒否るよね。

…なんで?」



だって、それは…



「…部室でそうゆう事するのが嫌なだけ」


「拒否ってもさぁ、結局オレのしたい通りになるの分かってるくせに…

そうゆうとこ可愛いよね」


にやっと…口の端を上げて笑う大和に、何も返せなくて…

黙ったまま俯くと、大和がそれを追うようにあたしを覗き込んできた。


.

< 9 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop