純粋な恋をした
目の前にある汚らしいゴミ箱に入っている黒色のペンケースは先ほどまで僕が使っていた物だ。
別にいじめなんて小学生の頃からの事なのでたいしてどうも思わないし慣れている。
机の中に生ゴミをいれられようが、ばい菌扱いされようが、殴られようがそんなものどうでもいい。そう思うのだが、やっぱり悲しくて、つらいのが本音で。
ゴミ箱から汚れた黒いペンケースを取り出せばクスクスと笑い声が後ろから聞こえた。
その笑い声に苛々しながらも僕は何の反応もせずペンケースを鞄に入れ学校を後にした。そして早足で昨日メグと出会った公園へと足を進める。
早く、早くメグに会いたい。メグに会って、たくさんメグと話をしたい。
今日は僕の事をメグに知ってもらおう。それからメグの事も教えてもらおう。
あまり外で遊んだ事がないせいなのか、それとも運動をしないせいなのかすぐに切れる息を整えながら昨日座ったベンチの近くに一歩一歩歩いていく。だけどどこにも彼女の姿はなくて。
どうしようもないぐらいに胸が苦しくなった。だが彼女はまた会おうと言っただけで、今日もここで会おうなんて一言も言っていない。会う約束をしていないのだからメグはここに居なくて当然だろう。そう思うのだが一気に気分が下がり、ベンチに雪崩れるように腰をかける。
ああ、会いたい。会いたい。
叶うなら毎日メグに会って話をしたい。話す内容なんて何でもいい。
ただただ二人っきりで楽しく話せれば何でも良いんだ。
なんて思ったところで会える筈もなく、神はつくづく意地が悪いと思った瞬間だった。ふいに上から影が差し、目の前にスモーキーアッシュカラーの珍しいストレートヘアーが現れたのは。
突然の事に驚きながらも上を見れば、そこには会いたくて会いたくて焦がれていた彼女の笑った顔があって。近い距離に顔が真っ赤に染まってしまう。
「驚いた?」
「……そ、そりゃあ。」
「昨日ぶりだね。元気?」
「げ、んきだよ。メグは?」
「うーん。普通かな。」
長いさらさらな髪の毛を揺らしながら僕の隣に座るメグ。
相も変わらず香ってくる甘い香りにくらくらしながらも、腰を浮かせて少しでも彼女の傍に移動するように座りなおす。
「気になってたんだけど、メグはどこに住んでるの?」
「ベティはどこに住んでるの?」
「…僕が先に質問したんだけど。僕は××通りに最近できた花屋の前のマンションに住んでるよ。」
「………へぇ。そうなんだ。」
「うん。メグは?」
「内緒。」
昨日は見つめられなかったし、横顔しか見てなかったからあまりよくわからなかったが、意外にも猫のような目をしている彼女の瞳をしっかりと見つめながら僕は口を動かす。きっと僕の顔は真っ赤だろうけど。
「じゃ、じゃあ何歳?誕生日は?」
「今年の4月で17歳になったよ。」
「本当に?僕も今年の12月で17歳なんだ。」
僕と同じ年だったっていう事と、イメージ通りの4月生まれに嬉しくなり、気持ちが溢れ出しそうになる。
そのせいなのかはよくわからないが、僕の口からはどんどんと言葉が出ていて。
好きな食べ物は?本は読む?趣味は何?学校はどこに行ってるの?
たくさんの質問を物凄い勢いでしたにも関わらず、彼女は嫌な顔ひとつせず返事をしてくれた。
だけどひと段落した次の瞬間に彼女のぽってりとした唇から発せられた言葉に後悔をする。
「そんなに私の事を知ってどうしたいの?」
どくりと心臓が鳴る。
まずい。気持ち悪がられる。いやだ。いやだ。そんなの絶対にいやだ。
「き、君の事を、た、くさん知りたいんだ。」
半勢い任せに口から本音をぽろりと零し、彼女からの返答を待つ。だがいくら待っても彼女からの返答はなくて。
ああ、嫌われたな何て思いながら恐る恐る目を開けると、そこには子供のように楽しそうに笑っている彼女の姿があった。
「私も、君の事をたくさん知りたいよ。」
別にいじめなんて小学生の頃からの事なのでたいしてどうも思わないし慣れている。
机の中に生ゴミをいれられようが、ばい菌扱いされようが、殴られようがそんなものどうでもいい。そう思うのだが、やっぱり悲しくて、つらいのが本音で。
ゴミ箱から汚れた黒いペンケースを取り出せばクスクスと笑い声が後ろから聞こえた。
その笑い声に苛々しながらも僕は何の反応もせずペンケースを鞄に入れ学校を後にした。そして早足で昨日メグと出会った公園へと足を進める。
早く、早くメグに会いたい。メグに会って、たくさんメグと話をしたい。
今日は僕の事をメグに知ってもらおう。それからメグの事も教えてもらおう。
あまり外で遊んだ事がないせいなのか、それとも運動をしないせいなのかすぐに切れる息を整えながら昨日座ったベンチの近くに一歩一歩歩いていく。だけどどこにも彼女の姿はなくて。
どうしようもないぐらいに胸が苦しくなった。だが彼女はまた会おうと言っただけで、今日もここで会おうなんて一言も言っていない。会う約束をしていないのだからメグはここに居なくて当然だろう。そう思うのだが一気に気分が下がり、ベンチに雪崩れるように腰をかける。
ああ、会いたい。会いたい。
叶うなら毎日メグに会って話をしたい。話す内容なんて何でもいい。
ただただ二人っきりで楽しく話せれば何でも良いんだ。
なんて思ったところで会える筈もなく、神はつくづく意地が悪いと思った瞬間だった。ふいに上から影が差し、目の前にスモーキーアッシュカラーの珍しいストレートヘアーが現れたのは。
突然の事に驚きながらも上を見れば、そこには会いたくて会いたくて焦がれていた彼女の笑った顔があって。近い距離に顔が真っ赤に染まってしまう。
「驚いた?」
「……そ、そりゃあ。」
「昨日ぶりだね。元気?」
「げ、んきだよ。メグは?」
「うーん。普通かな。」
長いさらさらな髪の毛を揺らしながら僕の隣に座るメグ。
相も変わらず香ってくる甘い香りにくらくらしながらも、腰を浮かせて少しでも彼女の傍に移動するように座りなおす。
「気になってたんだけど、メグはどこに住んでるの?」
「ベティはどこに住んでるの?」
「…僕が先に質問したんだけど。僕は××通りに最近できた花屋の前のマンションに住んでるよ。」
「………へぇ。そうなんだ。」
「うん。メグは?」
「内緒。」
昨日は見つめられなかったし、横顔しか見てなかったからあまりよくわからなかったが、意外にも猫のような目をしている彼女の瞳をしっかりと見つめながら僕は口を動かす。きっと僕の顔は真っ赤だろうけど。
「じゃ、じゃあ何歳?誕生日は?」
「今年の4月で17歳になったよ。」
「本当に?僕も今年の12月で17歳なんだ。」
僕と同じ年だったっていう事と、イメージ通りの4月生まれに嬉しくなり、気持ちが溢れ出しそうになる。
そのせいなのかはよくわからないが、僕の口からはどんどんと言葉が出ていて。
好きな食べ物は?本は読む?趣味は何?学校はどこに行ってるの?
たくさんの質問を物凄い勢いでしたにも関わらず、彼女は嫌な顔ひとつせず返事をしてくれた。
だけどひと段落した次の瞬間に彼女のぽってりとした唇から発せられた言葉に後悔をする。
「そんなに私の事を知ってどうしたいの?」
どくりと心臓が鳴る。
まずい。気持ち悪がられる。いやだ。いやだ。そんなの絶対にいやだ。
「き、君の事を、た、くさん知りたいんだ。」
半勢い任せに口から本音をぽろりと零し、彼女からの返答を待つ。だがいくら待っても彼女からの返答はなくて。
ああ、嫌われたな何て思いながら恐る恐る目を開けると、そこには子供のように楽しそうに笑っている彼女の姿があった。
「私も、君の事をたくさん知りたいよ。」