純粋な恋をした
君の事を知りたい、という捉え方によれば告白にも聞こえる言葉を、顔を真っ赤にして少し叫ぶように言い放ったとある少年の姿を思い出して作業中にも関わらずぶふと吹き出しそうになった。

「なあにメグ、最近面白いことでもあったの?」

「うん。引っ越してきた日に公園に行ったら面白い子に会ってね。」

「ふふ。最初は不安そうだったけど新しいお友達ができてよかったわね。」

「うん。」

友達ではないと思うんだけれどね、と口から出そうになったがその言葉をのみ込み花束のラッピングをしていく。

彼の反応が見たくてついつい内緒だなんて言ったけれど、新しくできた花屋に私が住んでる事を彼が知ったらどう思うだろうか。まぁ彼の様子と君の事を知りたいという言葉からしてどうなるかは大体予想はつくが。
それでもやっぱり好意を寄せられる事はとても嬉しい事に変わりなくて。

また明日にでも会い行こうかなぁなんて思っていると、カランカランとドアのベルが鳴る音がした。のでラッピングしている手を止め、いらっしゃいませーと言いながらお客さんの方へと足を進める。するとそこには昨日私に告白まがいな言葉をくれた金髪碧眼の男の子が吃驚した顔で私を見つめていて。

噂をすれば影が差すとは正にこのことか、と改めてことわざの凄さを実感した。

「メグ?どうして、メグがここに?」

「ここ私の親が経営してる花屋でね。」

「……そ、そうなんだ。」

「うん。それで今日はどうしたの?」

「え、っと、その、き、きみに、花を、と思ってたんだけど、その、あの…。」

顔を林檎のように真っ赤に染めてもごもごと口を動かしながら呟くベティ。
正直に言えば自分の店で売った花をプレゼントされても、というのが本心で。目の前の彼に少し笑いをこらえながら近くにあったスズランのブーケを差し出す。

「こ、れは?」

「さっき私が作ったやつ。品物にならないからあげるよ。」

「っい、いいの?」

「うん。」

「あ、ありがとう。ドライフラワーにしてずっと部屋に飾るよ。」

白いスズランのブーケを持って笑ってそういうベティは男の子に見えないぐらいに綺麗で。
さすがにドライフラワーはと思ったけども、まぁ彼がそれで満足するならいいか、と一人納得している私がいた。
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