アイツ限定


雅人の時だってそう。

雅人が、あたしから離れて行ったのは、雅人だけのせいじゃない。

あたしにだって、原因はある。


だから……。

千夏がもし、あたしに村上が好きだと告白してきたときには、ちゃんと答えよう。

”あたしも村上が好きだから”と。

正々堂々立ち向かうって決めたんじゃないか。



村上の笑顔が一瞬あたしの脳裏をよぎる。

無邪気な、子供の様な笑顔。

あの笑顔をあたしはずっと隣で見ていたい。

だから、あたしは譲らない。




掃除を終えたあたしは、そう、自分の心に誓ってカバンを担ぎ、千夏の元へと急いだ。









「あ、マリっ!やっときたぁ~!」



そういって、笑顔で迎えてくれる千夏。


あたしも笑顔を返した。



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