アイツ限定



「ごめん。待った?」



「うんん。千夏ちょっと職員室行ってたの。だからそんなに待ってないよ。」



「そっか。じゃぁ、いこうか。」



そういって、あたしたちは、歩き出した。

確か、千夏の中学はN中。

だから、あたしの家の近くにある駅から家に帰るんだと思う。

駅まではここから約1kmくらい。

あたしたちは、夕方の道をゆっくりと歩いた。



「なんか、マリって大人びてるよね。」



千夏は、ふふふっと笑いながら話しかけてくる。



「そうかな。全然だよ。」



「千夏ね、実はいうとさ…マリみないな人…嫌いなんだよね。」



千夏の声が一気に低くなる。

一瞬、あたしの体はビクッと震えた。

ってか、なにこの人格のかわりよう…。

今までも千夏は、仮面だったってこと?



「……そう。」



でも、そんなことでは、動揺なんてしない。

嫌いとか言われるのに慣れているあたし。

少し間をおいて返事を返す。


…中学とか、さんざん言われてきたし、そんなんじゃあたしは折れないんだから。



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