アイツ限定
「そんな綺麗な顔しちゃって…。不公平だよ。折角神様から綺麗な顔もらったのに、男嫌いとかさ。……ムカつくの。そういうの。」
「……千夏の言いたいことってあたしへの不満?」
「そうだよ。所詮PGなんて、星南高校の女子の嫌われものなんだから。
マリが誰かにチクったって無駄だよ。誰もマリの味方なんてなりやしないんだから。」
なんだろ……。
千夏からは、あたしと同じにおいがする。
千夏はきっと、何かにおびえてる。
何にあなたはおびえているの?
「そう…別にあたしは、明日香さえいてくれればいいから。…千夏はあたしの容姿が気に入らないの?」
「そうだよ。この世の中不公平だよ。女なんて、所詮顔なんだから。」
「あたしも、そう思うよ。」
あたしは、ため息交じりに答えた。
一瞬、千夏が驚いた顔をしたのがわかった。
「何?千夏は自分よりもブスだからっていいたいの?…さすがマリ様。でも、千夏、そこは、ちゃんと分かってるから。
マリには、千夏らの気持ちなんて一生分からないよ!」
千夏は、足を止めて、道端で叫び出す。
幸いにも、道行く人は誰もいない。
あたしたちを見ているのは、真っ赤な夕日だけだった。
あたしは少し行ったところで足を止めて千夏を見た。
千夏は、下唇をかんで、必死に泣くのをこらえようとしているように見えた。
あなたは、何にそんなにおびえているの?