アイツ限定
「ふふっ。教えてあげようか。あたしと雅人は幼馴染なんだよ。だから、あたしは小さいころから雅人の背中を追ってきた。だから、雅人は昔から千夏には何でも相談してくれたし、なんでも話してくれた。
千夏は知らない間に、雅人に惹かれていった。
雅人の好きな女の子とタイプは”明るい子””女子力がある子”一緒に居て楽しい子”だって言ってたから、必死で女子力磨いて、雅人の視界に入るように必死に頑張った。
友達からも、”千夏は性格よくて、完璧だね”って言われることも多くなった。
それで、千夏、自信ついたの。
だけど、雅人が高校生になって間もなくして、マリっていう、彼女ができたって千夏に自慢してきた。携帯で見せてもらったけど、とっても美人で、千夏は到底及ばないってわかった。現実を突き付けられた。
でも、千夏さ、諦めなかった。マリほど綺麗になれないかもしれないけれど、綺麗になる努力は欠かさなかった。人は、中身が大切だって、信じてた。
それから、数ヵ月後、雅人はマリと別れたって言ってきて、最低かもしれないけど、千夏、すっごく嬉しかった。
次は、千夏が雅人の彼女になるんだって、勇気振り絞って告白した。そしたら、雅人、なんていってきたと思う?
”お前は、マリの顔見たことあるんだよな。よくそれで俺に告白できたな。”って。
これが、現実だよ。
きっと、振られたばかりの時に告白したから機嫌悪かったんだと思うけど、それは千夏の心に深く突き刺さった。
だから、千夏心の奥底で誓ったの。
”人は所詮は顔。千夏が美人の顔に泥を塗ってやる”って。
この世の生まれ持った綺麗な顔にこの千夏が直々に泥を塗ってやる。一度人生のどん底に落ちてしまえって。
ふふふっ…あははははっ…!!」
千夏は狂ったようにお腹を抱えて笑い出した。
そして、そのまま地面にうずくまる。
千夏。
あなたが苦しんだことはわかった。
苦しんでいることはわかった。
だけど、それは間違っている。