アイツ限定
なめられない努力をしろよ
「落ち着いた?」
あたしは無事に千夏を駅まで送り、駅にあるベンチに座らせた。
この駅は、木造で無人駅。
蛍光灯という、頼りない照明が1つあるだけの駅。
もう、辺りは真っ暗になっていた。
「うん…。ありがと。」
千夏は、鼻をすすりながら、泣きはらした目でそう言ってくる。
「電車来るまであたしも一緒に居るよ。もう遅い時間だし、女の子一人だと危ないから。」
あたしはそういって、千夏の隣に腰かけた。
「マリは、千夏の中学のあだ名知ってるの?」
千夏は、下を向いて、あたしの方には顔を向けてこない。
きっと、アポロンのことだろう。
これは知っていると答えるべきか……知らないふりをするべきか……
「…しってる。」
あたしは正直に言うことにした。
千夏は、相変わらず、下を向いたままだった。