アイツ限定
男たちはまんまとひっかかり、一斉にあたしの指差した方向を見た。
その間に千夏は、電車に乗り込み、ドアが閉まる。
あたしは、千夏が無事に電車に乗ったことを確認すると、キッと目の前の男どもを睨んだ。
1人は、髭の生えた髪が肩まである”ロン毛野郎”。
1人は、ちょいメタボで、黒縁メガネをかけている”クソメガネ野郎”。
1人は、小柄であたしよりも背が低い”ちび野郎”。
1人は、顔が異常なほどでかい”4頭身野郎”。
個性豊かな4人の腐った男ども。
あたしはもう、あのころのあたしじゃない。
自分で自分を守れる。
こんな腐った奴らなんかに負けてたまるか。
「おい、俺らをだますとか、なめてんのか?」
さっそく、クソメガネ野郎が、あたしにずんずんと迫ってきた。
既に壁に追い詰められてしまっていたあたし、相手の顔を睨み返す。
もう相手との距離は30センチくらい。
酒臭くてたまらない。
ってか、これ以上あたしにその匂い移すなよ。
……弱点がら空きなんだけど。
あたしは下から思いっきり相手の股間を蹴り上げた。