アイツ限定
あんたに関係ない
「あ、マリ~!ばいばーいっ!」
あたしが一人で帰ろうと、ロッカーを開けようとしていた矢先、千夏がちょうど、玄関を通りかかり、私に手を振る。
「あ、じゃぁな」
あたしはそういって手を振りかえすと、千夏に背を向けて歩き出す。
はじめだけは明日香と一緒に帰ってたんだど、明日香は部活(バレーボール部)に入ったため、あたしは1人家へと歩く。
イヤフォンを取り出して、携帯にそれをつないで片耳にイヤフォンをいれる。
両耳には決して入れない。
だって…
「おい」
両耳に入れていたら、こうやって、声をかけられたとき、瞬時に対応することが出来ないから。
あたしは声の方向を見ると、校門のところに村上が、気だるそうに学生かばんを持って立っていた。
なんでこいつ、こんなとこにいんの?
あたしは無視して、再び歩き出そうとすると、後ろから片耳にはめていたイヤフォンをとられた。
「無視すんなよ」
綺麗な顔があたしの目の前に迫る。
あたしは、一歩下がり、イヤフォンを村上から素早く奪った。
「何」