アイツ限定
一通りダッシュを終えると、あたしは、再び部員を集めた。
「じゃー今からちょっと早いけどスタメン発表するから。あと、各々のポジョンもね。」
あたしが、そういうと流石の部員たちもどよめき出す。
「静かにしろよ。一回しか言わないんだから。」
あたしの言葉で一瞬にしてシーンとなる体育館。
何となく、自分のなかで監督の自分が定着していくように思えた。
あたしは、昨日作り上げた新たなピンク色のファイルを開く。
「まず、スタメンね。ポイントガードは池島隼人。パワーフォワードは根河翔。シューティングガードは土田圭樹。スモールフォワードは村上聖也。センターは福原和明(フクハラ カズアキ)。これが、うちのスタメン。文句あるやつはいるか?」
部員たちは動揺を隠せないようだった。
あたしも、それは承知の上。
なんたって…
「納得いかねえよ。」
3年の豆多大樹が、あたしをにらんでくる。
そう言ってきて当然。
だって、あたしは、彼をはずして1年の福原和明をスタメンにしたのだから。
「何で?」
「カズより、俺が劣っているとは思えない。身長は、負けるけど、カズよりも、俺の方が動ける。」