アイツ限定



「その、身長が、ないから外したんだけど。」



あたしは、年上に向かって平気にそんな言葉を吐く。



「…っ!昨日まぐれで勝ったからって、調子こいてんじゃねーぞ。年下のくせに。」



「おい、マメっ!」



部長が慌てて、豆多さんに一言さす。

だけど、今にも豆多さんは、あたしに飛びかかりそうな目であたしを睨み付けてくる。



「あたしは、これで決定とは言ってない。今の状態だったら、このメンバーであたしはいくつもりなだけ。

身長がないなら他に誰にも負けない武器を持てばいいだけ。違う?」



あたしが、そう言うと、少しだけ大人しくなる。


まだ目はあたしを睨んでいるけど。

まぁいい。

さっさと各自のポジション発表しますか。



「じゃーポジション発表するから。

ポイントガードは、池島、岡田、上田。

パワーフォワードは、根河、豆多、南、根岸。

シューティングガードは、土田、西田、今井。

スモールフォワードは、村上、浜田。

センターは、吉元、室木、福原。

わかった?」



またまた、動揺している星南バスケ部。

仕方ないっちゃ仕方ない。

だって、ほとんどのやつらが、ポジションを今になって移動させられたのだから。

あたしとしては、いい加減受け入れて、キチッとしていてほしいんだけど。


そう思いながら、あたしは時計にふと目をやる。


げっ!もうこんな時間!?

あー、もうそろそろあいつくるし。

出来れば会いたくないけど、あいつの力は本物だから、力は貸してほしい。

でも、面と向かうってなるとなぁ。



それは、おいといて今はとにかくこの状況をなんとか…。



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