アイツ限定



「…うぃーすっ。お、以外とガッチリしたやつ揃ってんじゃねーか。」



…あー。きやがったぁー。

部員たちは声のした方向を一斉に向く。

そして、呟く。

「あの、おっさんはだれだ?」と。


おっさんに見られて仕方ないとあたしは思う。

だって、髭とか生やしてたらさ、老けて見えてしまうから。

そして、きっと、あいつは怒るだろう。



「おい、今俺のことおっさんっていったやつ!外周いってこーい!」



ほらね。

いつも通りの前田雅人だよ。



「ちょっと。勝手にしないでよ。今あたしが仕切ってんの。」



あたしがキッと睨むと、ヘイヘーイとか言ってゆっくりこっちに歩いてきて、あたしの隣に並ぶ。

皆の頭の上には?マークが見える。

村上以外は。



「えー。今日から外部コーチをする、前田雅人だ。まだ、21でピチピチなんで、くれぐれもおっさんとは呼ばないように!」



雅人は、ニコニコと笑いながら和やかに挨拶をする。


村上は、キッと雅人を鋭い目で睨んでいるようだった。



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