アイツ限定
「じゃあ、お前らのプレー見たいし…ゲームやってもらおうかな。」
そういって、ニコッと雅人は部員たちに笑いかける。
「ちょっと待ってください。
俺はいいものの、他の部員たちは、今日ポジション発表を受けて戸惑っています。そのポジションをやったことのない奴だっています。いきなりのゲームは……。」
部長の池島さんが、驚いたような顔で、雅人を見ている。
確かに、いきなりのゲームはキツイ。
だけど…
「やれないことはないだろ?」
…雅人に先に言われたし…。
「じゃ、適当に3チームくらいに別れて。ゲームは15分後に行うから。」
あたしはそういって、タイマーをセットして、部員のプロフィールを雅人に渡した。
「おい。」
聞きなれた声があたしを呼んだ。
振り返れば、村上が、少し怖い顔をして立っている。
「何?」
「なんで、あいつ呼んだんだよ。」
「あの人、ああ見えて人を育てるのは上手なんだよ。強くするためにはあの人の力が必要だと思ったから。」