アイツ限定
この背高のっぽっ!
◆◇◆
「キャーっ!マリマリっ!見て見て、同じクラス同じクラスーっ」
桜の芽が芽吹くこの季節。
清々しい風があたしの髪を乱す。
隣の明日香(アスカ)が、ピョンピョン跳ねながら、玄関に貼り出されているクラス表を指差して喜んでいる。
「はいはい……。あーよかったねぇ~……」
あたしは、真顔で適当に返事を返す。
「きゃぁ~!見てよ見てよ、村上(ムラカミ)君も一緒なんだけどっ!」
明日香が再び、目をキラキラ輝かせて、あたしの肩をゆさる。
…村上?
誰?
あたしは、首をかしげた。
「もしかして、マリ、村上君知らないの?村上聖也(ムラカミ セイヤ)君っ!」
明日香は、大きな目をもっと開いて、あたしの顔をまじまじと見てくる。
「……あたし、男なんて興味ないし」
「まぁ、そうだけどさぁ~……。村上君は、私の見てきた最高のイケメンの中でも、もう断トツだよ!
あぁ~……。もう席とか隣だったら最高なんだけどなぁ~……。
よし、行きますか、高2の新クラスっ!」
そういって、明日香は、あたしの手を引いて校舎内へ勢いよく入って行く。
もう、イケメンとか興味ないんだけど。
そう思いながらも、あたしは明日香に手を引かれるまま、新クラスへと向かう。
そして、あっという間に”2-3”というプレートが上に見えた。