アイツ限定
略してPG?
ネーミングセンス疑うわ。
「初耳……そんなの」
「ふふふっ、そうなの?かなり有名なんだけどなー。
あ、自己紹介遅れてごめんね。私、東出千夏(ヒガシデ チナツ)。よろしく」
「こちらこそ、よろしく」
千夏はうれしそうに笑った。
あたしも、微笑み返す。
その瞬間だった。
「キャーーーっ!来たよ来たよ、村上君っ!いつみてもイケメンっ!」
「本当、まじで目の保養」
「笑ったところは誰も見たことないって。だけど、またそこがいいっ!」
一気に教室にいた女子たちが騒ぎだす。
村上?
ああ、さっき明日香が言っていた奴ね。
明日香がイケメンって言うくらいだからかなりのイケメンなんだろう。
あたしは興味ないけど。
そう思いながらも、あたしは教室の入り口に目をやる。
そこには、180㎝は超えているであろう長身と完璧に整った容姿。
少しくせ毛の入った、短髪。
程よくついた筋肉。
こいつが、村上聖也だってことは一瞬で分かった。
……ふーん。
女子がここまで騒ぐのも無理ないか。
そいつは、席の表を見終えると、こちらへと近づいてくる。