アイツ限定
「おっはようさんっ!おばさーんっ!聖也いますか…ってもういるしっ!」
俺の家の玄関を躊躇なく思いっきりあけて大声で叫んできたのは、本田圭吾(ホンダ ケイゴ)。
俺の唯一の幼馴染。
親父がまだ生きていた時でも、こうやって毎日こいつは俺を迎えにきた。
親父に何度怒鳴られようが、つまみ出されようが、ひっぱたたかれようが、俺を唯一見放さなかった奴。
「…ったく…朝から毎日うるさいなぁ…」
俺はシューズを履いてゆっくりと立ち上がった。
そして、ゆっくりと外へと出た。
「なぁなぁ、結局どうなったんだよ、マリちゃんとっ!」
圭吾は、俺の隣にピタッとくっついてきて、ニヤニヤしながら俺の顔色を窺っている。
俺は、その圭吾を気にしないで歩き出す。
「…さぁな。」
「はぁ?お前、親友の俺にまでなんで嘘つくんだよっ!明らかにおかしかっただろ、昨日のマリちゃんは…
なんか…女の子ってか…乙女ってか…2人で戻ってきたときのマリちゃんの顔マジで可愛かったしー!」
ほんと朝からテンション高い奴だな…
よくこれで放課後まで持つよな…
「…で?付き合うのか?付き合わないのか?」
「俺のこと…信じるって言ってた。それだけだよ。」
「…は?」
圭吾はいきなり大きな声を出す。