アイツ限定


「おっはようさんっ!おばさーんっ!聖也いますか…ってもういるしっ!」



俺の家の玄関を躊躇なく思いっきりあけて大声で叫んできたのは、本田圭吾(ホンダ ケイゴ)。

俺の唯一の幼馴染。

親父がまだ生きていた時でも、こうやって毎日こいつは俺を迎えにきた。

親父に何度怒鳴られようが、つまみ出されようが、ひっぱたたかれようが、俺を唯一見放さなかった奴。



「…ったく…朝から毎日うるさいなぁ…」



俺はシューズを履いてゆっくりと立ち上がった。


そして、ゆっくりと外へと出た。



「なぁなぁ、結局どうなったんだよ、マリちゃんとっ!」



圭吾は、俺の隣にピタッとくっついてきて、ニヤニヤしながら俺の顔色を窺っている。

俺は、その圭吾を気にしないで歩き出す。



「…さぁな。」



「はぁ?お前、親友の俺にまでなんで嘘つくんだよっ!明らかにおかしかっただろ、昨日のマリちゃんは…

なんか…女の子ってか…乙女ってか…2人で戻ってきたときのマリちゃんの顔マジで可愛かったしー!」



ほんと朝からテンション高い奴だな…

よくこれで放課後まで持つよな…



「…で?付き合うのか?付き合わないのか?」



「俺のこと…信じるって言ってた。それだけだよ。」



「…は?」



圭吾はいきなり大きな声を出す。


< 69 / 199 >

この作品をシェア

pagetop