アイツ限定
そして、圭吾が足を止めたため、俺は圭吾の少し前で足を止めて後ろを振り返る。
そこには、驚いて何も言えない、圭吾の姿があった。
「…ほら、はやくいくぞ。」
そういって、俺は再び前を向いて歩き出そうとすると、圭吾は走ってきて、俺の前に立ちふさがる。
「ちょいちょいちょいっ!ちょぉーっと待て待てっ!
あのな、お前さ…信じるって何?信じるって。お前もしかして言わなかったんだろ?俺と付き合ってくれって。」
「ああ、言わなかったけど何?」
「…何じゃねぇよ!お前は何がしたいんだよっ!」
「…松木の心開くこと。」
「お前はバカか?恋愛音痴にも程があるぞ?
…はぁ…お前さ…マリちゃんのこと好きなんだろ?ガキの頃から今日まで追いかけてきたんだろ?自分のものにしたくねぇのか?お前はマリちゃんの彼氏になりたくねぇのか?」
「あいつ、俺以外には触れさせねえよ。ってか、まず、俺以外の男に触れられないだろうけど。」
「…はぁ~…まぁ今日マリちゃんに言っとけ。俺と付き合って下さいって。」
「わーったわーった。じゃあ、ちょっとどけ、学校遅れるから。」
俺がそういうと、圭吾は、顔を引きつりながらも、俺に道を開けた。
「…聖也…。お前さ、頑張ってくれよ。ってか…マリちゃんがお前の笑顔取り戻してくれたりして…な?」
笑顔か…
中2のころだったか…俺が完全に笑わなくなったのは。