アイツ限定


「あ、わかった。松木の隣の奴だろ?」



俺がそういうと、東出は嬉しそうに幸せそうに笑った。



「そうです、そうです!覚えててくれたんですね。」



…松木がよく授業中とか話してる奴だからな。



「ああ、まぁな。」



無愛想に返事をする俺。

それでも、東出は笑顔を浮かべたままその場を動こうとはしなかった。


松木がもうそろそろ校門を通るところ。


はっきりいて、こいつ邪魔。

だけど、そんなことは言えるわけもなく…。

…どうすっかな。

こんなところを松木に見られたらまずい。


『信じろ』と言った翌日に、校門前で女と一緒に居る姿を見られるのはかなりまずい。



待つのは…やめるか。


俺は、ゆっくりと、その場から動くことにした。

東出は、ぴったりと俺についてきた。



「あれ、誰か待っていたんじゃないの?」



東出は、俺の隣に並んで、見上げてくる。


…いい加減…うざい。



「別に。」



俺は再び愛想のない返事を返した。
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