アイツ限定
人気が下がるとか上がるとかあたしの知ったこっちゃない。
「返せよ、こそくそのっぽっ!」
「なんだよ、さっきまで全然口開かなかったのに一気におしゃべりになりやがって。……返してほしけりゃ、条件がある」
あたしが取り上げようと、手を伸ばすも、座りながら余裕であたしをかわし、しゃべり続ける村上。
は?条件?
喋らなかったら返さないっつたから喋ったのに。
そんなの知ったこっちゃない。
「んなの、知るかよ」
「俺と付き合え」
……はぁ?
あたしの動きが一瞬止まる。
そして、村上も止まる。
その瞬間待ってましたとばかりに、あたしは自分の携帯とイヤフォンを村上の手から一瞬にして奪う。
「ばっかじゃねぇの?誰がお前と付き合うかよ、バーカ」
村上は、はぁーっと息を吐いて、前を向き、少し乱れた服装を正す。
「……ぜってぇ、惚れさせてやる」
再びこんな恥ずかしい台詞を無表情で言い切る村上。
ばっかじゃねぇの?
頭いかれてるだろ。
容姿いいからって、100人中100人が惚れるわけねぇだろ。