あの日のナミダ



逆にベンチは俺のだと主張したら、言い返されたし。
少し気が強い感じだった。
珍しく俺から名乗ったくらいだし。

でも、他の女達みたいな感じは全くなく、マイペースな話し方だった。
笑顔を見たけど、本当に笑ってる感じではなく、何処か寂しそうで儚げだった。

初対面なのに、『俺が本当のこいつの笑顔を阻む何事からも守ってやりてぇ。』と思った。


だけど、俺は何も分かっちゃいなかった。
それを知るのはまだ少し先の事。




始業式が終わったのか生徒達の声が聞こえてくると、梓依は教室ヘと戻っていった。
もう少し話したくて引き留めようとしたけど、その声は聞こえなかったようで、そのまま止まる事なく行ってしまった。
俺はその後教室には行かずに、そのまま銀狼のアジトの倉庫へとバイクで向かった。



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