あの日のナミダ
「あのさ…ちょっと調べて欲しいんだけど。」
早速部屋の隅にあるパソコン机の前に腰かけた浩介に、そう声をかけた。
あれからずっと、梓依の事が気になってる俺はクラスとかいろいろ浩介に調べるよう頼む事にしたのだ。
「何調べるの??」
「1年の片桐 梓依って奴の事。」
「へっ、女の子??」
「珍しいじゃん。
女嫌いのお前が女の事調べろなんて。」
俺が珍しく女の名前を出すと、浩介は間の抜けたような声を出して驚き、皐月はニヤニヤしながら口を挟んできた。
「関係ねぇだろ??」
「いや、そういうわけにはいかねぇよ。
浩介に調べさせんなら、チーム関係してくんだろ??」
「チッ…分かった。
俺が気になったんだよ。
あいつは俺らの周りに群がる女共とはちげぇ気がする。」
「へぇ~。どんな子?
何処で会ったの??」
俺が皐月の質問に答えると、浩介までもが聞いてきた。
「あいつは俺に態度変えたり、媚売ったりしねぇ。
初対面だけど、俺から先に自己紹介させるくらいだし、マイペースだな。
…これくらいで良いだろ??
会ったのは学校の裏庭だ。」
少し梓依の事について話し過ぎたと思いつつ、最後まで答えた。
2人共不気味なくらい俺に笑顔を向けてきやがる。