あの日のナミダ
そして、秀太に駐輪場に連れていかれ、自転車を置く為の駐輪場のはずなのに、バイクばっかり並んでる事に吃驚するやら、呆れるやら…。
秀太はたくさんのバイクが置かれてる中、そこだけは置く人が限られてるような屋根があるとこから、ポツンと一台だけ置かれた大きな真っ黒のバイクを持ってきた。
「ん。」
それだけ言って、メットを差し出してきた。
何となくかぶれという事だろうと察してかぶった。
「秀太は??」
私がかぶった後も自分はメットをかぶってないし、もう1つないみたいなので一応聞いてみた。
「俺は良い。」
私がかぶってるのがサイズが大きい事と、その答えを聞いて、私がかぶってるのが秀太ので余分にはないんだと悟った。
「乗れ。」
そう言われて、ストンとバイクに飛び乗る。
「…。」
それを見て、自分で言ったくせに驚いた顔をしてる秀太。
「何?」
「お前乗れんだな。」
「知り合いに乗せてもらった事あるから。」
下手に乗れないフリするよりは、始めから乗れることを示しといた方が良いと思ってあえて乗ったら、案の定疑問に思われたので、手っ取り早くそれだけ言っといた。
秀太の腰に腕を回すとバイクは走り出して…数十分程で目的地に着いたのか止まった。
そこは大きな倉庫の入り口前で、傍にはたくさんのバイクが止まってたり、カラフルな髪色の男達が何人かドアの前で座り込んで話していた。
「そっ、総長!!」
けど私達がバイクを降りた時こっちを見て、秀太に気づき立ち上がって、直ぐに体ごとこっちに向けて頭を下げた。
何となくそれを見て、此処が何処なのかを認識する。
銀狼の倉庫だ。
秀太は特にそんな面子達に返事を返す事なく、歩き出したので私も後を追った。