あの日のナミダ
「…で、話って何?」
「浩介。」
「梓依ちゃん、単刀直入に言うけど…俺達と暫く一緒に居てくれない??」
私の質問に答えたのは此処に連れてきた秀太…ではなく、名前を呼ばれてそれだけで了解した感じの浩介だった。
「どういう事ですか?」
「秀太が…「浩介。」」
浩介が何か話そうとすると、秀太が遮るように名前を呼んだ。
「お前、さっき男達に絡まれて俺出ただろ?」
「えっ、そうなの??」
秀太がさっきの事を言うと、浩介が少し驚いたように目を丸くして聞いてきた。
「あぁ。
俺と関係あるって思われた可能性がある。」
「関係あるって思われたら、何かあるの??」
言いたい事は分かるけど、普通知らないから分からないフリして聞き返した。
「梓依ちゃん、此処何処か分かる??」
「倉庫。」
溜まり場だって分かるけど、知らないフリして首を傾げてそう答えた。
「此処は所謂暴走族の溜まり場で、俺達は暴走族なんだ。
あっ、恐がらないでね?
俺達には一般人には手は出さないってルールもあるし、そんな事まずしないから。
普段は巻き込まないように声すらかけない。」
「…別に恐くないけど。
どうして一緒に居なきゃいけないんですか??」
「俺達、族の中では関東No.1なんだ。
だから、その地位を他の族からは狙われて、抗争とかもある。」
浩介の説明にさらに聞いた私に、今度は少し真面目な顔した皐月がそう話した。