あの日のナミダ



「その総長が秀太なんだけど…。」
「もしかして、その秀太と知り合いだと狙われるって事ですか??」
完全に鈍いと思われても困るから、言いにくそうな浩介の言葉に続けてそう聞いた。

「そう!梓依ちゃんって、結構鋭いね。」
「そうかな?
そこまで聞いたら、大体分かると思うけど。」
「そう?」
「はい。」
「で、俺達と居てくれる??」
私と浩介の会話に続けて、皐月が少しおどけて、確認するように聞いてきた。

「別にそこまでしなくても大丈夫です。
秀太と会ったのだって、まだ今日で2回目だし。」
「でも今日お前に絡んでたの、俺らと争ってる赤龍の下っ端だ。」
「それなら余計に狙われる可能性があるよ。」
「私は大丈夫。
それなりに自分を守る術だって知ってるから。」
秀太と浩介の言葉に私は笑顔を作って、そう言った。


「キャッ!!」
その瞬間に秀太に腕を引っ張られて、気づいたらソファーの上で組み敷かれてた。
…本当は振りほどく事だって、投げ飛ばす事だって出来るくらいの力だけど。
加減してるのかな?
だけど、そんな事して疑われたら困るからしなかった。



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