あの日のナミダ
「で、あの…。」
「あぁ…知らないなら良い。
俺、秀太。…蓮未 秀太ーハスミ シュウター。」
「蓮未…さん。」
私は顔を見た時から、薄々分かってたけど、名前を聞いて確信して相手に聞こえないように小さい声で名前を復唱した。
「あっ?」
「いえ、何でもありません。
先輩…ですよね??」
「あぁ。3年だ。
お前は??」
「申し遅れてすいません…。
私は1年の片桐 梓依です。」
「そうか。」
「あっ、はい。
どうぞ。」
私は笑顔をわざと作って、自己紹介した後足を退けてベンチの半分を開け、そこを示した。
「あぁ。」
戸惑いながらも蓮未先輩はそこに腰かけた。
「で、お前…片桐だっけ?
何してる?今始業式の最中だろ??」
「あぁ…私ちょっとしたサボりってのです。
先輩もですか??」
「あぁ。てか秀太で良い。
言葉もタメ口で良いし。」
「えっ、でも先輩ですし。」
「良いから。」
「はい。」
「俺も梓依で良いか?」
「はい。」
あっという間に話は進んで、お互い呼び捨て・タメ口でって事になった。
そんなこんなで話をしてるうちに、学校のチャイムが鳴り、生徒達の賑やかな声が少し遠くから聞こえてきた。