涙唄--ナミダウタ--
「……………」
「……………」
正門を出てからも、お互いなにも話さないまま。
こんな微妙な雰囲気…。
なんか昨日もあったよね、
音葉と一緒に帰って…。
音葉と奏矢くんって、なんか雰囲気が似てる。
だからかな…。
今の雰囲気も、昨日と一緒だ。
「…あのさ」
この沈黙を破いたのは、
奏矢くんだった。
「ん?どうした?」
そう言って、私は奏矢くんの方を向いた。
「んっ」
…?
奏矢くんが、手を握りながらこっちに手を出してくる。
なんとなく、手を開きながら、奏矢くんの手のしたに持っていくと。
ポトンっ