涙唄--ナミダウタ--
「じゃあ、そろそろ帰るか?」
そう言われて、携帯の時計を見ると
もう17時。
早いなぁ。
「そうだね、もう遅いね。」
本当は、もうちょっと一緒に
いたかったけど……。
その想いは、胸の中にしまっておこう。
「そうしよう!
ごめん、俺ちょっと寄るところあるから送ってやれねぇ。
ごめんな?」
…えっ、送ってくれようとしてたの……?
私はその気持ちだけで十分なのに…。
「全然っ!!
じゃあ、また…明日」
「おう…!
花音、じゃあな」
………え?
「そ、うやくん……?
今なんて………?」
「…ばーーーか」
奏矢くんは私にそう言って、走っていった。
今、確実に…奏矢くんは私のことを…。
ねぇ、期待しちゃうから
やめてよ…
もっと好きになっちゃうって…。
閉じ込めた気持ちが、
また出てきそうで
怖い。