涙唄--ナミダウタ--
3.先輩
------次の日。
私は寝坊して、急いでいた。
「いっ、いってきふぁす!!」
玄関の扉を勢いよく開けた。
……口にパンをくわえながら。
私は全速力で走る。
走る!!!!
キキーッ
自転車のブレーキ音が、私の隣で鳴る。
だ、だれ?
隣を見ると…
「しょっ、しょうひゃひゅん!?」
そこには、自転車に乗った奏矢くんがいた。
「ぶはっ、やっば!
花音ホント面白い。
いそがねぇとやべぇし、後ろ乗れ!」
えっ…えええええぇええ!?
「ひゃっ、ひゃめひゃよ!」
「ダメだって?
ダメじゃねーよ!
急ぐんなら乗れ!
俺も遅れるだろぉ?」
いたずらっぽく笑った奏矢くん。
よかった、いつもの奏矢くんだ…。
「な、ならお願いします…」
私は口にくわえていたパンをとって、奏矢くんの自転車の後ろに乗った。
お、重くないかな…。