涙唄--ナミダウタ--
「だって………
私、花音が奏矢のこと好きってことは気づいてた。
けど、奏矢が…私を好きだなんて全く気づかなくて。
言い訳になっちゃうけど…。
この前、
奏矢は花音に気がある
とかふざけたこと言っちゃって…。」
音葉…………………………。
そんなこと、気にしてたの…?
私、そんなの忘れてたよ…………。
「バカ。
そんなことより、もっと悩むこと
あるでしょう?
だーから!
そんなことで悩まないで?」
そうだよ。
私のことより、
ちょっとでも奏矢くんのこと考えてよ。
まぁ、そう言えないんだけどね…。
「花音、ありがとうね?
……奏矢に背中押したのも、花音なんだって??
奏矢から聞いたよ。
ホント、野村はいい奴だーって!」
奏矢くん……。
私は、いい奴なんかじゃないんだよ。
音葉に彼氏できて、よっしゃっ!
って思ったもん。
もちろん、音葉が幸せになったっていう理由もあるんだけど
………奏矢くんの可能性が薄れたから。
ひどいでしょう?
なのに、私のことを
2人はいい奴って言ってくれる。
私からしたら、2人の方がいい人なのに。