涙唄--ナミダウタ--






「奏矢くんは、まだ、音葉のことが好き?」



私の率直な意見だった。
それが、今でもずっと気になってたこと。


告白したからって、諦めたとは
限らないでしょ?



「もう、吹っ切れたよ。

…………でも当分、誰かを好きになることは…ないと思う。」



ズキンっ……


それはまるで、私が告白して
振られた感じがして。


とても、胸が苦しくなった。
締め付けられる、そんな感じがした。



「でもまぁ、俺のことなんて好きになる人いないと思うけどな」

またいたずらっぽく笑って、
残りのパンを食べ始めた。



私は、涙が出そうになって。
だけど、今出ると

奏矢くんに心配されちゃう。

そうわかってたから、出すことができなかった。




………………………残りのお弁当は、胸がいっぱいで食べることができなかった。






< 59 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop