涙唄--ナミダウタ--
「奏矢くんは、まだ、音葉のことが好き?」
私の率直な意見だった。
それが、今でもずっと気になってたこと。
告白したからって、諦めたとは
限らないでしょ?
「もう、吹っ切れたよ。
…………でも当分、誰かを好きになることは…ないと思う。」
ズキンっ……
それはまるで、私が告白して
振られた感じがして。
とても、胸が苦しくなった。
締め付けられる、そんな感じがした。
「でもまぁ、俺のことなんて好きになる人いないと思うけどな」
またいたずらっぽく笑って、
残りのパンを食べ始めた。
私は、涙が出そうになって。
だけど、今出ると
奏矢くんに心配されちゃう。
そうわかってたから、出すことができなかった。
………………………残りのお弁当は、胸がいっぱいで食べることができなかった。