涙唄--ナミダウタ--
「……教科書を読んでくれる人ー」
先生がそう言っていたのにも気づかず、
私は奏矢くんのことだけを考えていた。
トクン、トクン…。
さっきから、胸が静まらない。
とても熱くて、うるさい。
とても授業どころじゃない。
私の後ろの席にいる彼は、真剣に黒板を見てはノートに書いて……を繰り返している。
…後ろ見た限り、ね??
そんな姿にも、キュンってして。
ずっとこの席だと、心臓が爆発しそうだってぐらいで。
いつのまにか私は、奏矢くんのことをとても好きになっていた。
"好き"
じゃ抑えられない。
"大好き"
じゃないと、私の胸はおさまらない。
大好きでも、たりないくらいだよ。