涙唄--ナミダウタ--
再び私は、気になって後ろを向く。
すると、奏矢くんもこっちに気づいたようで………
バチッ、と効果音が出るくらいにバッチリ目が合う。
わわわわわわわわわわわ、やばい…!
あわてて逸らそうとしたけど、
ずっとジィ…っと見てくる彼を見てると、逸らすにもそらせなかった。
「……………花音?
なにか、ついてる?俺に」
そう言うと、自分の顔をペチペチ叩き始める。
きっと勘違いしたんだな…。
「うっ、ううん、何もついてないよ!
ご、ごめんね?」
目が合うなんて、思ってもなかった…。
てっきり、集中してるのだと思って…。
でも、こんなチラチラ見てたら誰だって気づくか…。
「おーい野村。
後ろ向くなら教科書読めよー」
先生に名前を呼ばれ、ビクッとする。
やば。
先生にバレてしまった。
「お断りします!」
「なにぃー、それなら杉山、読んでくれー」
うぇぇえ!?
奏矢くん!?
ご、ごめんよ奏矢くん…。
結局、私が断ったせいで
奏矢くんが教科書を読むことになった。