涙唄--ナミダウタ--
5.奏矢くんの気持ち



**花音side**



「かっのーーーーん!

おっはよぉ。」



次の日。

学校の廊下を歩いていると、後ろから音葉に抱きつかれた。


「音葉おっはぁー」


苦しい。


とても苦しいので、がんばって片手で音葉の腕を退けた。



「なんだよ、ちぇぇっ」


拗ねた顔をするけど、私は無視して教室へ向かう。


ガラガラ…

教室について、ドアを開く。





「おわっっ」



開けたと同時に、誰かが私にぶつかった。



「ごっ、ごめんなさいっ」


ペコッと頭をさげて、顔を勢い良くあげる。



「へ…奏矢くん?」



「花音か。大丈夫?ごめん」


「大丈夫……だよ。」



……ぎこちない。
私の対応が、ぎこちない。

自分でもわかってる。
わかってるけど、作り笑いをしてしまう。




昨日、あんなことがあったから…。


そうこう考えていると、奏矢くんが私の頭に手を一瞬だけ乗せ、教室から出ていった。





< 84 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop