涙唄--ナミダウタ--
5.奏矢くんの気持ち
**花音side**
「かっのーーーーん!
おっはよぉ。」
次の日。
学校の廊下を歩いていると、後ろから音葉に抱きつかれた。
「音葉おっはぁー」
苦しい。
とても苦しいので、がんばって片手で音葉の腕を退けた。
「なんだよ、ちぇぇっ」
拗ねた顔をするけど、私は無視して教室へ向かう。
ガラガラ…
教室について、ドアを開く。
「おわっっ」
開けたと同時に、誰かが私にぶつかった。
「ごっ、ごめんなさいっ」
ペコッと頭をさげて、顔を勢い良くあげる。
「へ…奏矢くん?」
「花音か。大丈夫?ごめん」
「大丈夫……だよ。」
……ぎこちない。
私の対応が、ぎこちない。
自分でもわかってる。
わかってるけど、作り笑いをしてしまう。
昨日、あんなことがあったから…。
そうこう考えていると、奏矢くんが私の頭に手を一瞬だけ乗せ、教室から出ていった。