涙唄--ナミダウタ--
教室につく頃にはもう授業は終わっており、休憩中なので人がたくさん廊下に出ていた。
その中にひとり、奏矢くんの姿があった。
「奏矢くん!!」
私は音葉に "ごめんね" と伝えてから奏矢くんの元へ走って向かった。
謝りたい。
昨日ぶつかってしまったことを。
「か、花音…」
「奏矢くんごめん!
私、昨日当たってしまったの。
それは本当にごめんなさい。
でも奏矢くん、自分の気持ちにもう気づいているよね?
まだ、音葉のことが好きだって…」
奏矢くんの前につくと同時に
奏矢くんに問い詰めてみた。
「また花音のおかげなんだ。
自分の気持ちに気づけたのは。
俺はまだ音葉が好き。
だけどわかってるよ、叶うことはないって」
奏矢くんは、廊下の窓を開けると空を眺めるかのように上を見上げた。
私もそれを真似して、上を見上げた。