君への一歩
第一章 〜出逢い〜
ピピッ…ピピッ…
「ん〜…」
朝、5:30分に設定したアラームが心地良い眠りを妨げるように鳴り響く。
それと同時に眠たい目を擦りながら私、『美波 遥香(みなみはるか)』はベッドから起き上がった。
「今日…何があったっけ…?」
寝ぼけながらもふらふらとした足取りで台所へ向かう。
台所に着くといつものようにベーコンの焼ける匂いと母が陽気な歌を歌いながらキッチンで朝食を作る姿があった。
これがいつもの美波家の朝だ。
「お母さんおはよー」
母に挨拶をし、パジャマ姿のままで台所の椅子に腰掛けると…
「あんたゆっくりしすぎ!もうそろそろ制服着替えなきゃ遅れるよ?!ったく...学校まで1時間半もかかるって言うのに」
「も〜分かってますよ〜だ」
そう、遥香の家から通学している学校まで約1時間半もかかる。他の生徒と比べて地元離れしているため、朝も早いし、何かと大変だ。
最初は身体が怠くてついていけるか不安だったが、今ではもうすっかり慣れて、スイスイと行ける。たまに寝坊をして遅刻しそうになる事は何度かあるが。
「って…もうこんな時間?!」
気付くと時計の針は6:25分をさしていた。
「ああぁ!!遅刻する!!お母さん今日朝いらない!買って食べる!」
「えぇ〜…まぁ良いけど…気をつけて行きなさいよ〜?」
「はいはいはーい!!」
私は急いで階段を駆け上がり自室へ行き、猛スピードで身支度を整え、外へ飛び出す。
(今日、何か大切な事を忘れている気がする...)
ふと、そんな事を走りながら考えたが、そんな余裕は全く無いので考えを振り切って遥香は学校へ向かう。