君への一歩


学校のある駅に付き、改札を通り勢い良く曲がり角を曲がった瞬間ーーー

「うわぁっ!」

急に衝撃が走る。

突然の事で、驚きながらも痛みに耐え、顔を上げると…

「す、すいません、ぼーっとしてました」

「…」

そのぶつかった少年は、眼鏡をかけ、いかにも真面目そうなのに、髪が少し茶色がかっていて、少し長髪で綺麗な顔立ちをしている。

思わず心臓が飛び跳ねた。

「えっと…こっちこそごめんね」

急いで走って当たってしまったのだから自分にも責任があると思い、腰をさすりながら立ち上がり、頭を深く下げ、謝る。

そして、ふと気付きその少年の制服を見ると、遥香と同じ学校の制服を着ていた。

それに、まだ綺麗で少しぶかぶかで着慣れていないような感じだった。

(あ…もしかして新入生…)

「え...新入生......っあーーーーっ!!!」

何かを急に思い出したかのように、大声で遥香が叫ぶと同時に、少年は僅かに肩を揺らし目を見開く。

そして遥香はやっと思い出した。

「今日…新入生歓迎会で、勧誘しなくちゃいけないんだったぁ…」

「…あ、そ、そうなんですか...」

「急がなきゃ!!...あっ!ごめんねっ!痛い思いさせて...!いつかお礼?させて!!!じゃねっ!」

そう遥香は告げるとあっと言う間に走って行った。

その様子を1人眺めながら少年は呟いた。

「...お礼...?」




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