君への一歩
>学校(部室)<
「つっ...着いたー!」
「遅い!何時だと思ってんだよ!」
遥香が猛スピードで学校に着いた時にはもう既に歓迎会は終わっていて、勧誘時間になっていた。
そして勿論不満の声が遥香を襲う。
「ったく、ふざけんなよ馬鹿か!美術部の副委員長だろお前!!」
そう、遥香は副委員長という委員長をサポートする大事な役目についていたのだ。
そして迷わず暴言を吐いて遥香にじりじり詰め寄っているのは、『天霧 隼仁(あまぎりはやと)』。遥香と同じクラスメイト。
美術部の委員長で唯一の男子部員。
何かと遥香を馬鹿にしたがるが、部活のことを一番真面目に考えているのは隼仁だ。
「ごめん...勧誘じゃんじゃんして目標10人入れるから許してよ...」
「言ったな?だったら早く10人集めて戻ってこい!!ほらっ!看板!!」
そう言って隼仁は遥香に美術部の看板をぐいぐいと押しあてた。
「天霧の言い方きついよぉ...もういい」
そう言って遥香は看板を乱暴に受け取り、部室を勢い良く出ていった。
騒がしかった部室が一気に静まり、隼仁は一人、深いため息をついた。
「はぁ〜...」