異世界ハーフのお姫様
イケメンと、砂時計。
「……嶺雨、早く思い出して」
隣から静かに聴こえたイケメンの声。
「……何処かで会いました?」
「……嶺雨が思い出さなきゃ、俺は言えないんだ」
寂しそうに言うイケメン。
あたしは立ち止まる。
すると数歩先でイケメンも立ち止まった。
雨雅と鼓君は、先を歩いていて止まる気配はない。
「……あたしが思い出したら、解決するのね?」
「…あぁ、嶺雨にしか俺の闇は解決出来ないんだ」
あたしは彼に近寄って目を覗き込む。
「…何処かで」
「おーーい!嶺雨に近寄るな、無駄にイケメン野郎」
あたしが振り向くと、50mほど先で立ち止まっている雨雅と鼓君。
「…無駄にイケメン野郎。センスないのな」
呆れ顔のイケメン。
「…雨雅にセンスを求めちゃ駄目よ」
あたしは少し笑って雨雅と鼓君を見る。
「…早く行きましょう?雨雅と鼓君に怒られちゃうわ」
あたしはイケメンの手を引いて歩き出した。
その時にイケメンが泣きそうになってたことなんて、あたしは知りもしないことだったんだ。