異世界ハーフのお姫様
「…今から『砂時計』取りに行くわ。雨雅を家までお願い」
あたしは鼓君に氷の鍵を創り渡す。
鼓君は呆然としている。
「…もう隠す心配も無いでしょう?少しは自由になれたかしら」
髪の色が水色に染め上がっている。
存在自体を消すしかない。
「…俺も取りに行く。鼓は雨雅君を頼む」
あたしが降りようとして居たのを、ヨイショッとまた持ち上げられる。
「ちょっ!?お、降ろしてよ!もう雨に当たったから」
大丈夫だからっ!
「駄目だから。俺の秘密もこれ以上隠せない…天罰はその時に下るはずさ」
羽園君は、どこか吹っ切れた顔をしている。
「…もう隠さなくて済むんだ、嶺雨」
あたしに?
「…『砂時計』。元気にしてるかしら…」
あたしは上の空で天空を見つめる。
そこには雲の覆った天空があった。
お母さん、お父さん。
ごめんなさい。
あたしは…弟一人護れない姉です。
でも、ちゃんと護ってみせるから!
…………………安心して下さい。