異世界ハーフのお姫様
「…嶺雨に伝言よ。裁判大臣が明日判決を出すって言ってたわ」
……明日。
雨雅、大丈夫かしら。
何も言えずに、異世界に飛ばされてしまったから…。
心配してないかな?
鼓君にちゃんとお礼も言ってないし…。
「……嶺雨」
嗚呼、怒られるよね?
人間の前で未来を張り替えるコトをしてしまったんだから…。
「……………よく頑張ったわね、嶺雨」
「え?……怒らないの?」
だって……、掟を破ったんだよ?
「…どうして怒るのよ。雨雅をちゃんと護ったじゃ無い」
優しく笑って、頭を撫でてくれる。
涙が頬を伝って…毛布に落ちる。
「…2人だけで良くここまで頑張ってるわよ。羽雨(はう)と陽蒔(ようま)さんが亡くなってから…もう、10年よ」
懐かしそうに…思い出すお婆ちゃん。
「…そうだね。もう10年か……………」
お母さんは、零沢 羽雨。
お父さんは陽川(ようかわ) 陽蒔。
二人の死因は、あたしと雨雅を守る為。
悪い魔法使いが彷徨っていた時代。
『雨氷』と『火陽』のハーフが世にも珍しいと称えられていた。
そう、あたしと雨雅このこと。
あたしと雨雅は異世界で知らない人は居ない、と言うほどに名前は知れ渡っている。
『雨氷』はなかなか結婚をしない種族らしく…。
しかも何人もの人が交際を申し込んでもお母さんは揺るがなかったと言う。