異世界ハーフのお姫様
先生が入って来て、すぐ後ろに入ってきた男の子。
そこには…金色の目がよく目立つイケメンな男の子がいた。
「…鼓 暮哉(つづみ くれや)」
鼓 暮哉?
あれ?
あたしは首を思わず傾げる。
「…零沢、1日かけて学校案内してくれ!朱穂高校は無駄にでかいからな」
担任はそう言って出て行った。
クリーム色の髪を揺らしながらこちらに向かってくる。
短髪の髪に、金色の瞳。
海外の子かしら?
「…零沢嶺雨さん、かな?」
「…えぇ」
この人誰?
たまに、極たまにだけど…『異人』を殺そうとする奴もこの世にはいる。
「…何処かで見たことある顔だね」
ニコリと微笑む鼓君。
「…案内するわ」
あたしは、皆の前でも見せる微笑を浮かべる。
「…羨ましい。嶺雨様と男が歩くなんて…」
「…でも、お似合いよね!」
あたしたちは色々と浴びせられる好機の目。
「…ココは、資料室よ。よく先生から頼まれる資料はココにあることが多いわ」
あたしは資料室に入って、その人を見た。
すると…その人の髪の色が……、漆黒の黒色に変わっていた。
それに金色だった目は真っ赤に染まっている。
「…ん?あ、やべ!」
逃げ出そうとする彼。
あたしは思わず反射で鼓君の手を掴んだ。
この人も…『異人』だわ。
「…鼓君も『異人』なのね?」
あたしは少し笑う。
すると、驚いたように目を見開く鼓君。
「…やっぱりか。零沢嶺雨は『異人』だったか」
少しさみしげに笑う鼓君。
「…俺は『異人』だよ。零沢さんもだったとは意外だな」
「…そうかしら?まぁ、嫌われ者だものね…『異人』は」
あたしは少し俯いて、資料室を出た。
次は屋上に続く階段を上がる。
「…『異人』とも稀にしか会えないし、隠すのも辛くなって転校したんだ」
「…確かに。この学校は『異人』にとっては人気の高校ね」
屋上に着き、鍵をきちんと閉める。
「…俺は、見た目で分かるかもだけど…。『ヴァンパイア』なんだ」
漆黒の黒色に、真っ赤に輝く瞳。
その瞳に吸い込まれそうになる。
「…アンタの血、美味そうだよな」
ジッと見つめてくる鼓君。