ヤンデレなら、病んで下さい!
どんくさ天然×微ヤンデレ
(一)
小さい頃から、私はどんくさい天然だと幼なじみの紅葉(もみじ)ちゃんは言う。
「20歳の大学生になれば、ちょっとはマシになるかと思ったのだけどーー」
対して、高校デビュー以来、ますます女らしく綺麗な紅葉ちゃんの手が伸びる。
「もー、ほんと可愛いまんま!うちの幼なじみマジ天使!いっそ、そのままでいなさい!」
きゃー、と喫茶店で人目はばからず、私の頭を撫でまくる紅葉ちゃん。高校デビュー時に、アニメ関係の趣味も目覚めたそうで、今やオタクさんな美人になってしまった。
「も、もみじちゃんっ」
「中身は幼いのに、こっちはますます大きくなって。このアンバランスさが絶妙っ、ハスハスしちゃうわ」
「は、はす?」
私の胸を凝視したあと、あーんとか言ってケーキが乗ったフォークを差し出されたので、パクリ。
「それが、どんくさ天然の可愛さなのよ!」
「えっ」
「パクつく?普通?こんな公共の場での『あーん』を何の躊躇いもなくやるだなんてっ」
「で、でも、紅葉ちゃんのはタルトで、私はチョコだから、そっちも食べたかった……から」
そんなに変なことだったのかと、顔が熱を帯びる。思わず伏せようとすれば、紅葉ちゃんが親指を出した。
「その反応も、私とおっさん的にはグッジョブよ!」
「おっさん!?」
「あなたみたいなどんくさ天然は、おっさん受けが激しくいいのよ。無知は罪でも、天然は愛嬌。昨今、作為的な天然が増える時代。現実主義者な若者は、あんたの天然ぶりに裏があると疑心暗鬼って悶える余裕もないのだけど、私とおっさんなら表だけ見て、悶えて愛でまくるわ!」
拳を握り、自分はおっさんと同等宣言をする紅葉ちゃんだった。そんなこと力説されても。
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